先日祖父母の家に行った。
祖父母はもう亡くなっているので、団地の一室の祖父母の家には今は誰も住んでいない。
郵便ポストには、飲食店のチラシや、もう終わってしまった国勢調査の書類などが入っていた。
その中に、1つだけ、祖父宛の郵便物があった。
「長尾 義信 様 あなたの力で子どもの命を守ることができます。ぜひ、ご一読ください。」
差出人はunicef(ユニセフ)だった。
白い封筒には透き通った目を見開いた、黒人の子どもが印刷され、アメリカからの航空便であることを示す消印のようなプリントがなされていた。
日本の封筒より一回り大きな白い封筒。メッセージのところは強調するように下に一本の赤いラインが引かれている。
祖父になぜ、ユニセフがこうした手紙を送ってきたのか、私は知らない。
もしかしたら父が祖父名義で寄付かなにかしたのかもしれないと頭をよぎる。
でも、一瞬一瞬に想像する可能性はどれも仮定にもならない脆弱な可能性だった。
確かなのは、15年以上前に亡くなった祖父に、こらから生きようとする人たちへの助けが求められていることだ。そして、
封筒に印刷された少年のまっすぐな瞳を受け止めるはずだった人はその子が生まれる前からこの世にはいないのだ。
事実だけ考えるのなら、単に祖父が亡くなったことがユニセフに伝わっていないだけなのだろう。
でも、別の解釈をすれば、祖父の意思はまだ生き続けていると言えるのかもしれない。
祖父が亡くなって15年以上たち、どういう背景から、どんな理由でユニセフとのつながりが出来たのか、もはや知る由はないが、ユニセフを通して封筒にプリントアウトされていた子どもたちの力になりたいという意思だけは生き続けているように思う。
この封筒自体、多分日本だけでも数千、数万通出されているものなのだろう。
しかし、祖父宛の封筒はやはり祖父の意思の一つの結晶なのだろう。
そして、その結晶を通して私は祖父をあらためて感じる。
ごめんなさい。それうちの父にも来てたけど、父は何も知らないって。日本ユニセフかユニセフどっちかわからないけど、日本ユニセフの方だとどこからか個人データを採取しているらしく、手紙が来る事もあるそうです。気をつけて下さい。
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